「そっか、やっぱりはなちゃんって言うと思ったよ(笑)
最初は難しいと思うけど、いい子やから可愛がってあげてね。」

一週間後に、はなちゃんを迎えにいく約束をし、
里親さん宅を後にしました。

帰り道、わたしは
「とりあえずご飯の器と、トイレと、何用意したらいいかなぁ…」
なんてことを考えながら、
はなちゃんとの新しい暮らしが楽しみで仕方ありませんでした。

どうしてあの日、沢山の猫たちの中で、
はなちゃんに心惹かれたのかは
考えてもよくわからないのですが、
初めて見たはなちゃんはとても悲しそうな顔をしていて
それが、その時の自分と良く似ていたように思います。
一緒に幸せになろうね。
そんな気持ちだったのかもしれません。

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それから一週間が経ち、
待ちに待った「はなちゃんお迎えの日」が来ました。
仕事を終えた私は、一度家に帰り、
はなちゃんお出迎えセット(ご飯の器やトイレ)の
最終チェックをして里親さん宅へ向かいました。

到着し部屋に入ると、相変わらず、はなちゃんはソファーの裏。(笑)

「待ってましたよ。今、はなちゃん連れてくるね。」

里親さんがそう言って、
ソファーの裏からはなちゃんを強引に抱きかかえ、
わたしが持参したケージに入れました。
はなちゃんはニャーニャー鳴きながら身体を反らし、
最大限に抵抗していました。


どこに連れていかれるニャ!知らない所は怖いニャ!お外は嫌いだニャ!

きっとそんな風に思っているんだろうな…と少し切なくなりました。

「ご飯はさっき食べさせたから、
今日はあげなくても大丈夫やで、じゃあ、頑張ってね。」

「ありがとうございます。はなちゃんと頑張っていきます!」

里親さんは最後に、こないだ言い忘れたんだけど…と前置きして
はなちゃんの名前の由来は「花」ではなく「鼻」の部分だけ毛の色が違って
それがチャームポイントだから「はなちゃん」なんだよ。と教えてくれました。
そして、捨て猫だからハッキリわからないけど、
推定2歳くらいじゃないかなぁ…とも教えてくれました。

ケージに入ったはなちゃんと共に、
里親さん宅をあとにしました。

「にゃあ…にゃあ…」
帰り道、はなちゃんはケージの中で悲しそうに鳴いています。
きっとこの先どうなるかわからず不安なのでしょう。

「はなちゃん、大丈夫やで、怖くないよ。」
声をかけながら家に帰りました。

家につき、ずっと鳴いているはなちゃんをケージから出すと、
その場から動かなくなってしまいました。
でもよく見ると、目はキョロキョロ動いている…
そして目で周りの安全を確認すると、
姿勢を低くして忍び足で部屋の中を歩き始めました。